茶の湯に関心がある方であれば、一度は「わび茶」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
わび茶は非常に漠然としていて、明確にどういうものなのか理解するのは難しいです。
そこで今回は、わび茶の「歴史や作法」「言葉の由来」「茶の湯との違い」などについて詳しく書きます。
わび茶とは?現在の茶道の源流
「わび茶」とは、簡単に言うと現代の「茶の湯」や「茶道」の様式のひとつです。
茶の湯や茶道を細かく見ていくと、時代によってたくさんの様式があります。
その中でもわび茶は、現代で使われる一般的な「茶の湯」や「茶道」という言葉のイメージに最も近いお茶のスタイルです。
厳密に言うと「茶の湯」はわび茶よりも茶室や調度品にお金をかけた豪華なイメージで、それに対し、「わび茶」は小さな茶室と落ち着いた雰囲気で、茶の湯に「わび・さび」といった精神性を重視したスタイルです。
わび茶の歴史【15世紀】村田珠光から千利休へ
日本のお茶の歴史は奈良時代に始まっていたとされていますが、わび茶の原型が始まったのは室町時代です。
村田珠光(むらたじゅほう)という茶人が、茶の湯に禅などの精神性を取り入れた「草庵の茶」を始めます。
「草庵」とは簡素な茶室のことであり、豪華な茶の湯(書院茶)とは対極的な言葉です。
その後「草庵の茶」を、武野紹鴎(たけのじょうおう)がより簡素な「わび茶」として発展させていき、安土桃山時代に「千利休」が完成させます。
「わび茶」という言葉の由来
「わび茶」という呼び名がついたのは、江戸時代になってからです。
「わび茶」が誕生して完成されていくまでの歴史は文献が残っていないことも多いため、色々な説があります。
わび・さびの精神とは?
「わび・さび」は、2つで1つの言葉になっています。
「さび」は「鉄が錆びる」の「さび」です。
一般的に「劣化」を意味しますが、その劣化を多彩さや個性として楽しむ心がさびという精神です。
一方「わび」は「寂しい、侘しい」という意味と、不足の美という「足りないものを美しい、満足だと思う」精神のことです。
これが合わさって「わび・さび」になると「静けさや慎ましさの中にある美しさを感じ取ること」という意味になります。
わび茶の作法
わび茶がそれまでの茶の湯と違うのは、人との精神的な交流とおもてなしを重視している点です。
以前までは、高価な調度品で茶室を飾ったり品評会をするなど「お金をかける」ことが重視されていました。
わび茶では、必要な調度品にはあまりお金をかけず、窓を使って自由に明かりを調節できる2~3畳ほどの小さな「草庵茶室」を使います。
加えて、茶室への道には「露地」と呼ばれる茶園を作るなど、空間すべてを使って客人をもてなすことを重視しました。
これらの作法は、千利休の直系である本家の「表千家」、分家である「裏千家」と「武者小路千家」にも受け継がれています。
まとめ
今回は「わび茶」について詳しく説明しました。
わび茶は現代の茶道の源流とも言うべきスタイルで、千利休が完成させたお茶の作法です。
それまでの茶の湯とは違って、わび茶は「わび・さび」に代表される内面性を重視し、今日の日本人の精神を磨いてきました。
「侘しい=貧しい」というイメージがありますが、本来は心の豊かさを表す言葉です。
現代の茶道には、室町時代から重視されてきた「わび・さび」などの精神が大きく反映されています。
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