多忙な現代人に、ひと息の時間を”贈る”。「VAISA」が描く未来とは

インタビュー
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現代人は忙しい。その証拠に、最近では「リトリート」「瞑想」といった言葉が叫ばれるようになりました。

デジタルが発達している今だからこそ、あえて「人とのつながり」「目的もなく無為自然に過ごす」ことが大切になっている気がします。

VAISA(バイサ)のコンセプトは「価値ある時間を大切に」。

まさにデジタルの業界に身をおく、VAISAのメンバー3人が日頃から感じていた課題でもあります。

VAISAは、映像制作や、空間設計、イベントプランニングなど、得意分野を持った新進気鋭のクリエイターが集う「sinden」が立ち上げたプロジェクトです。

今回は、立ち上げから関わる、郡司淳史(ぐんじ・あきふみ)さん、苅込宗幸(かりこみ・ひろゆき)さん、大門佑輔(だいもん・ゆうすけ)さんに、VAISAを立ち上げた経緯や、描きたい未来についてお話を伺いました。


左から順に、大門佑輔(だいもん・ゆうすけ)さん、郡司淳史(ぐんじ・あきふみ)さん、苅込宗幸(かりこみ・ひろゆき)さん。
photo by koji sakaguchi

「賣茶翁(ばいさおう)」の思想に共鳴し、生まれた「VAISA」


photo by koji sakaguchi

ーーVAISAは、異なるバックグラウンドを持つメンバーによって構成された「sinden」というクリエイター集団が立ち上げたプロジェクトです。どのように知り合い、「VAISA」が生まれたのでしょうか?

「VAISAは、正式にはメンバーが7名います。現在中心となって活動している苅込とは飲み会で意気投合し、一緒に仕事するようになりました。もうひとり中心となって活動している大門とは、当時仲間内で企画していた好きな食べ物をともに食べる会『THE FOOD CLUB JAPAN』というイベントで、VAISAのイラストを生み出した松田君に紹介してもらったのがきっかけです。」と、郡司さんは、当時の様子を懐かしげに振り返ります。

ーー「THE FOOD CLUB JAPAN」や「ほめるbar」を開催するなど、イベントを通して人がつながる世界観が好きな郡司さん。しかし、ただつながるだけで終わっていくところに物足りなさを感じていたそうです。

「人がつながるだけじゃなくて、そこになにか意味を持たせたいなと、ずっと考えていました。そんなとき、日本茶スタンドの『サテン(Saten)』の小山さんとお会いする機会がありました。江戸時代にいた賣茶翁(ばいさおう)の存在を聞き、もっとこの賣茶翁を現代版にアップデートすればなにか面白いことができるんじゃないか。それがVAISAの始まりです。」と郡司さんは語ります。

賣茶翁とは、諸国でお茶を売りながら行脚していた江戸時代の禅僧。晩年には自ら喫茶店をかまえ、来客者に煎茶を出しながら、禅について語ったそうです。

「茶ハガキ」で、人のあたたかみを感じる瞬間をとどけたい


photo by koji sakaguchi

ーーVAISAが立ち上がった2016年当時は、ブルーボトルが日本に上陸し、「サードウェーブ」と呼ばれるコーヒーブームの真っ只中。なぜ、あえて日本茶を選んだのでしょうか?

「日本茶って、作るのにお金も時間もかかるはずなのに、市場に流通しすぎて本来の価値が失われているなって感じたんです。コーヒー以外にも、日本茶という選択肢があってもいいんじゃないかと思ったんです。」と郡司さん。

「なんで日本茶?日本茶を入れる人っている?」という疑問の声もあるほど、日本茶の魅力が世の中にあまり伝わっていなかったそうです。ただ、ファッション業界の方々の目には、可能性を感じるコンテンツに映っていたと、苅込さんは当時を振り返ります。

「知人のつながりで、『UNBY GENERAL GOODS STORE』というセレクトショップに期間限定で出店させてもらうことになりました。それを皮切りに、『THE NORTH FACE』『HARE .JP』など、有名ブランドとのコラボが決まりました。なぜ、おもしろがられたかというと、アパレルブランドって、今どこも不況で服が売れにくくなっているんです。だから、どうすれば生活水準を高められるか、人々のライフスタイルに入り込めるかを考えているところが多いんですよ。そのニーズにうまくフィットしたのかなと思っています。」

ーー従来の「茶ハガキ」といえば、普通のはがきに茶葉を同封させたシンプルなものでしたが、VAISAの茶ハガキは、それとは一線を画した、遊び心のあるイラストが印象的。茶ハガキというプロダクトを選んだ理由、そしてデザインに込めた意図や目的について苅込さんに聞きました。

「モノがあふれている時代で、いくらかっこいいデザインにしても日本茶を飲もうとはならないと思うんです。だから、自分で買わなくても選ぶならこれがいい、となることが大切なんじゃないかなと。そう考えたときに送られてくる、ギフトされるという形式が良いなと思って。そこで着目したのが『茶ハガキ』だったんです。」

「今はデジタルに触れる時間が長くて、人の温かみを感じる瞬間が少なくなったような気がします。茶ハガキなら日本茶に接点のない方にも届けられるし、人とのつながることの大切さも訴求できると思ったんです。」

ーー大門さんは、ご自身がゼネコンで働いていたときの、”休憩中にお茶を飲みながら談笑する”日本の古き良き文化が、とても印象的だったと語ります。

「建設業の安全管理上、2時間おきに休憩をとる決まりがあって。休憩中はみんなでお茶を飲んで談笑していました。昔は、仕事を円滑にすすめるための一つの知恵として日常的におこなわれていましたが、デジタルの発展や外食文化ができたことで、”休憩中にお茶を飲みながら談笑する”文化が薄れたのだと思います。しかし、インターネットによって生活が豊かになった分、弊害として『デジタル疲れ』を感じる人も増えてきています。あらためて、人とのつながり、血の通ったコミュニケーションが見直されてきている気がしますね。」

VAISAのコンセプトには「価値ある時間を大切に」とあります。

「贈った人が自分の気持ちを茶ハガキで届ける。その時点で、僕らの目的は果たされているのかもしれません。」と苅込さんがいうように、彼らがまさにデジタルに没頭し、なかなか体現できていないからこそ、「人と言葉をかわす」「気持ちを伝える」ことの大切さを痛感しているのかもしれません。


パッケージの裏面に、相手の住所と名前を書き、84円切手を貼ったら、そのままポストに投函。大切なひとに「ひと息」の時間をギフトできる。

(商品名:静岡県産 里のお茶・山のお茶・森のお茶/10g 380円(税込))


静岡県産の茶葉。現在は、狭山茶、富士山のお茶、福岡のうきは茶、茨城の深蒸し茶と、取り扱い地域を着実にふやしている。


「THE NORTH FACE STANDARD」とコラボイベント「Tea & Chill」。苅込さんいわく、「『アウトドアでお茶を飲む』という文脈が好意的に受けとめられた」そう。

人とのつながりを基点に、地域へ、社会へ、還元していく


photo by koji sakaguchi

ーーVAISAのターゲットは日本茶になじみのない人。「ティーパックタイプ」なら、手軽にお茶を入れられるのに、VAISAはあえて「茶葉タイプ」にこだわります。そこには、深くお茶を体感してほしいという思いがありました。

「以前、小山さんに入れてもらったお茶を飲んだときに、味の違いに衝撃を受けたんです。こんなにも、茶葉、入れ方、温度で味が変わるんだなって。だからこそ、あえて茶葉にする必要があると思ったんです。」と苅込さん。

しかし、伝統的な入れ方にこだわらず、入れ方は自由なほうが面白いと考えるのがVAISA流。

そこには、郡司さんがインスピレーションを受けた賣茶翁がきわめたり、「煎茶道」の思想が脈々と受け継がれていました。

「『茶道』は、お茶の入れ方やお茶の作法が厳格に決まっています。それに対し『煎茶道』は、「とりあえずお茶を飲もう」といったラフなスタイルなんです。今の世の中には、”肩ひじはらずに自然体でお茶を楽しむ”『煎茶道』の方があっているんじゃないかと思ったんです。」

ーー2018年には、日本茶ブームが到来。時代が追い風に。企業からノベルティ制作の依頼も増え、業界内で独自の地位を確立しつつある「VAISA」。3人には、一体どのような未来がみえているのでしょうか。郡司さんが、VAISAが大切にしている哲学とともに教えてくれました。

「VAISAは、人とのつながりをきっかけにして生まれました。だから、日本茶を通して、もっと『コミュニTEA(人とのつながり)』の大切さを伝えられたらいいなと。そして、『アメニTEA』として、日常に快適さを提供したいです。」

「さらに、廃棄予定の茶葉を使ったバスリーフ(入浴剤)や茶香炉(ちゃこうろ)といったプロダクトを開発するなどして、農家さんに『チャリTEA(慈善活動)』をしていきたいですね。これを続けていけば、やがて『ソサエTEA』に貢献できると信じています。このサイクルを循環させ続け、一つの『カルCHA』として根付かせていきたいと思っています。」

ーー新型ウィルスの登場で、世界は未知の脅威に直面しています。VAISAはこの状況に何を思うのでしょうか。郡司さんに、胸の内を聞きました。

「僕らの会社名『sinden』のコンセプトは、”心に電気を走らせる”。ここしばらくは、どうすればVAISAなりに、元気づけられるか、明るくできるかを考えていました。そして、完成したのが『STAY HOME COLLECTION 3種セット』です。」

左から、埼玉のほうじ茶、富士山の煎茶、茨城県の玄米茶。パッケージには、自宅で過ごすことや手洗い予防について、ポップなメッセージが描かれている。(1,500円税込)(ショッピングサイトはこちら

「パッケージには、Stay Home Chill Together(違う家にいるけど、お互いにゆっくり過ごそう)、Clean Hands Clean Mind(手も心も明るく)、Every Place Same Taste(場所は違っても、同じ味を楽しんでいる)と、今のこの状況を受け入れつつも前向きに行こうというメッセージを添えています。」

「また今、あらためて日本茶のカテキンが免疫力向上につながるとして、見直されているそうです。ぜひ、このSTAY HOMEの時期に、お茶を飲んで心とからだを整えて、大切な人を思いながら、手紙を書く。そんな時間を大切にして欲しいなと思います。」


photo by koji sakaguchi

かっこよさなど形にこだわるのではなく、VAISAを通して、”休憩中にお茶を飲みながら談笑する”という脈々と受け継がれた伝統やあり方を、深く未来へつないでいくココロイキを感じました。

「今後は、海外展開も視野に入れています」と郡司さんが語るように、VAISAの活動は日本を超えて世界へ。今後の活動にも目が離せません。

VAISA(バイサ)
2016年、クリエイター集団「sinden」が立ち上げたプロジェクト。「THE NORTH FACE」「HARE .JP」など、有名ファッションブランドとのコラボイベントを数々成功させる。「価値ある時間を大切に」をコンセプトに、茶ハガキを通して「想いを届けること」の大切さを提案。
http://vaisa.jp/
https://www.instagram.com/vaisa.jp/
https://sinden.tokyo/sinden.inc
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俵谷龍佑(たわらや りゅうすけ)
ライティングオフィス「FUNNARY」代表。大手広告代理店でリスティング広告のプランナー業務に従事。その後フリーランスに。留学、睡眠、健康、経営、ライフハック、マーケティングなど多くの分野で執筆に携わり、さまざまな企業のアクセスアップに貢献。執筆記事数は1000本を超えます。SEOと読みやすさを意識したライティングには定評があります。現在は、働き方・地方創生・食という分野を中心に、取材、イベントレポートなど、さまざまなタイプのコンテンツ制作を行っています。

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