棹菓子（棹物）とはどんなお菓子？羊羹やういろうなど、特徴や食べ方を解説

棹菓子（さおがし）とは、その名のとおり棹（さお）のような細長い和菓子。食べる分だけカットできるので、いつでも好きな分量を食べやすいのが魅力です。棹菓子といえば羊羹（ようかん）を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、ほかにもさまざまな棹菓子があります。

本記事では「棹菓子（棹物）」を解説します。

棹菓子（棹物）とは？

棹菓子の読み方は「さおがし」、棹物は「さおもの」です。

棹（さお）とは、竹でできた細長い棒のこと。棹菓子（棹物）も、棹状の細長い和菓子を指します。「さおがし」は「竿菓子」や「竿がし」と表記されることもありますが、棹菓子が正しいです。

また棹菓子の数え方は、正しくは1本、2本ではなく1棹（ひとさお）、2棹（ふたさお）です。ちなみに箪笥（たんす）も同じく1棹、2棹と数えます。これは、箪笥を運びやすくするために、箪笥の側面に棹を通せるようにしたことに由来します。

棹菓子の歴史と成り立ち

棹菓子にもさまざまな種類があり、どのように発展してきたのかはそれぞれ異なります。

例えば棹菓子の代表格である羊羹（ようかん）は、「羹」がスープを意味し、もともと中国で食べられていた羊肉のスープでした。その羊肉のスープが日本に伝来してきましたが、禅僧は肉食を禁じられていたため、羊肉の代わりとして小豆が使われるようになったのが現在の羊羹の原型と伝えられています。

同じ棹菓子でも、カステラはポルトガルから日本に伝わってきました。長崎の港に来たポルトガル人によって日本に持ち込まれたといわれています。当時のカステラは、現在のカステラに比べて甘くなく、ふんわりした食感もなかったといわれています。

棹菓子（棹物）の特徴・魅力

ここでは、棹菓子の特徴や魅力をご紹介します。

切り口が美しい

棹菓子は一切れずつカットしてから食べるので、切り口が美しくなるように作られているものが多いです。

例えば羊羹に透明な寒天を組み合わせた棹菓子は、切り口に果物が入っていたり、桜や紅葉、富士山、天の川など、四季や日本のモチーフが浮かび上がったりするようにデザインされていることも。同じ1棹のなかでも、切る部分によって模様や色の出方が変わることもあり、食べるたびに楽しめます。その繊細なデザインは、まさに食べるアートといえるでしょう。

好きな大きさに切り分けられる

棹菓子は好きな幅でカットできるので、そのときに食べたい量や、食べる人数に合わせて柔軟に切り分けられます。何人来るかわからない集まりにもお土産として持っていきやすいのが、うれしいポイントです。

贈答品・ギフトにもおすすめ

棹菓子は切り口が美しいものが多く、特別感のあるお菓子として扱われるので、贈り物にもよく使われます。特に羊羹は日持ちがするので、贈り物にぴったり。

ただし、食べるときに切り分ける必要がある棹菓子は、「切り分ける・切り離す」を連想させ、結婚挨拶などでのお土産には向かないという意見もあるようです。明確な決まりはありませんが、気になる場合は、最初からカットされて個包装になっている棹菓子を持っていくのも一案です。

棹菓子（棹物）の種類

棹菓子とよばれる和菓子にもいくつか種類があります。代表的な棹菓子をいくつかご紹介します。

羊羹（ようかん）

棹菓子の代表格といえば羊羹です。羊羹は主に下記3つの種類に分けられます。

水羊羹はぷるぷるとしてゼリーに似た感触なので、1個ずつカップなどに小分けにされていることが多いです。練り羊羹や蒸し羊羹は硬さがあるので、1棹の棹菓子として販売されます。

ういろう

ういろうも有名な棹菓子の1つです。米粉や小麦粉、わらび粉などをベースに水や砂糖を加えて混ぜ、蒸した和菓子です。ずっしりとした食べ応えがあり、食感はもっちりとしてやわらかいです。

見た目は練り羊羹に似ていますが、ういろうのほうがもちもちして重めの食感です。

からすみ

「からすみ」は、岐阜県の伝統和菓子です。米粉に砂糖を混ぜて練り、棹状に固めています。

特徴は、切り口が山の形状になっていること。山は2つ連なった独特な形状をしています。もともと桃の節句に食べられていたからすみは、子どもが日本一幸せになるようにとの願いが込められて、富士山を模した山型になったといわれています。

米粉で作られているのでもちもちとした食感で、味もあずきやよもぎ、クルミなどさまざまあります。

カステラ

カステラも棹菓子に分類されます。もとはポルトガルから伝来してきたお菓子で、日本独自に進化したといわれています。

小麦粉と卵に砂糖とはちみつ、水飴などで甘みを付けて焼き上げられ、茶色く香ばしい表面と、ふんわりやわらかい黄色い生地のハーモニーが絶品。底部分はざらめ砂糖が付いており、カリカリとした食感も楽しめます。

やわらかな甘みで、どなたでも食べやすい人気の棹菓子です。贈答用としてもよく使われます。

柚餅子（ゆべし）

柚餅子（ゆべし）とは、米粉を使った和菓子です。国内でも地域によってさまざまな形状があり、小さく丸めたものもあれば、羊羹のような棹状のものもあります。米粉を使っているのでもっちりとした食べ応えがあります。

もともとは名前のとおり柚子が使われていましたが、柚子を使わず、醤油味ベースの生地にくるみが入ったくるみゆべしなども有名です。

棹菓子（棹物）の季節ごとの楽しみ方

棹菓子は、前述のとおりさまざまな季節モチーフや色のものもあり、季節ごとに我々を楽しませてくれます。春夏秋冬それぞれで楽しめる棹菓子をご紹介します。

春

春の訪れを思わせる、明るい色を使った棹菓子が人気です。例えば桜や桃の花を連想させるような淡いピンクや、たんぽぽのような黄色、新芽のような明るい黄緑色などがよく使われます。練り羊羹でも、ピンクや緑に色を付けたものや、よもぎの葉を混ぜ込んだよもぎ羊羹などがあります。

夏

夏は、寒天や葛などを使った透明な棹菓子が人気です。青楓や星空などに見立てたデザインをはじめ、青や緑など寒色系をメインにした透明な棹菓子は、見た目も涼やか。冷蔵庫で冷やして食べると格別です。

秋

秋は、赤や黄色の紅葉を模した棹菓子が人気です。栗羊羹も秋にぴったり。夏が終わってだんだん涼しくなるこの時期には、ほっこりした栗羊羹や柚餅子など、重めの棹菓子がよく合います。

冬

寒さが厳しくなる冬には、雪を模して表面が白っぽいものや、梅をデザインした棹菓子などがあります。ちなみに福井県では、あえて寒い冬に冷たい水羊羹を食べる風習があるようです。

棹菓子（棹物）の食べ方・切り方

棹菓子を食べる際は、食べる分だけナイフや包丁でカットします。あまり薄くカットしてしまうと、お皿に乗せたときにうまく立たないことがあるので、3cmほどの幅にするのがおすすめです。ただし、あえて薄めにカットしたり、サイコロ状に細かくカットしたりするのも問題はありません。

羊羹を切るときは、包丁を水で少し濡らして軽く水気を拭き取り、羊羹の真上から垂直に刃を下ろすように切るときれいに切れます。包丁を前後に動かしながら切ると、羊羹の断面がぼろぼろになるので気を付けましょう。

カステラの場合は、少し濡らした包丁を少し前後に動かしながら切っていきます。カステラはやわらかい生地なので、羊羹のように真上から抑えるように切るとカステラ自体が潰れてしまうので注意してください。

お茶会やお客さんに出すときは、カットした棹菓子を1～2切れほど小皿の上に立てて置き、黒文字を添えるのが一般的です。食べるときは、黒文字で一口大にカットしながら食べましょう。

山年園で販売しているお菓子について

山年園の人気商品の1つ、抹茶ロールケーキ。厳密にはロールケーキは洋菓子なので棹菓子ではありませんが、同じく棹状で、食べる分だけカットできます。

国産の香り高い抹茶をたっぷり含んだクリームを、秋田県産こまち米粉を使った生地でくるみました。もっちりとした生地に、甘みと苦みのバランスが絶妙な抹茶クリームが合わさり、他にはない美味しいロールケーキです。切ったときの見た目も美しく、来客時のお茶請けにもおすすめです。

抹茶ロールケーキ

抹茶ロールケーキの購入はこちら

The following two tabs change content below.

• この記事を書いた人
• 最新の記事

塩原大輝（しおばらたいき）

有限会社山年園 代表取締役です。巣鴨のお茶屋さん山年園は、巣鴨とげぬき地蔵通り門前仲見世にあり、60年余りの間、参拝のお客様にご愛顧頂いている茶舗「山年園」です。健康茶、健康食品、日本茶、巣鴨の情報などをメインに、皆様のお役に立てる耳寄り情報をまとめています。

最新記事 by 塩原大輝（しおばらたいき） (全て見る)

• 棹菓子（棹物）とはどんなお菓子？羊羹やういろうなど、特徴や食べ方を解説 - 2025年12月13日
• 抹茶が海外で人気になったのはいつから？海外ブームのきっかけや理由を解説 - 2025年12月11日
• 大紅袍茶（だいこうほうちゃ）とは｜深い岩韻と香りを味わう、最高級の烏龍茶 - 2025年12月4日