抹茶を楽しむために不可欠な茶道具が、茶筅(ちゃせん)です。抹茶を混ぜる道具ですが、穂の数や持ち手の太さなどいくつか種類があり、それぞれ得意とする抹茶も異なります。
本記事では、茶筅の種類の1つ、「百本立て(100本立て)」を解説します。
百本立て(100本立て)とは?

百本立て(100本立て)とは茶道具の1つで、穂の数が約100本ある茶筅(ちゃせん)のこと。読み方は「ひゃっぽんだて」です。
茶筅とは抹茶を点てる、もしくは練るときに使う茶道具で、竹でできた持ち手に、同じく竹を細く割った穂がたくさん付いています。この穂の本数が百本立ては約100本ですが、茶筅の種類によってもっと多いものや、反対に少ないものもあります。
百本立ては細い穂がたくさん集まっているため、空気を多く含ませながらふんわりクリーミーな抹茶を点てるのにぴったりです。抹茶にはどろりと濃厚な濃茶(こいちゃ)と、サラッと軽い薄茶(うすちゃ)の2種類がありますが、ふわっと泡立てるのが得意な百本立ては薄茶に適しています。
ちなみに、百本立ての細い穂は繊細な作りなので比較的折れやすいです。また、穂数が100本と多いために、持ち手が他の茶筅よりも少し太くなります。そのため茶筅のなかでも扱いが難しく、上級者向きです。
百本立て(100本立て)の起源と成り立ちについて

百本立てをはじめ、茶筅の起源は宗時代の中国といわれています。当時の中国では、今でいう抹茶のような粉状のお茶が飲まれており、攪拌(かくはん)させるために茶筅に似た道具が使われていたようです。
その茶筅が日本に伝わってきたのは鎌倉時代。禅僧の栄西(えいさい)禅師が、中国から日本に持ってきたといわれています。栄西は中国で禅を学び、そのなかで禅で大切にされていたお茶文化に感銘を受けました。お茶の種とお茶の知識を日本に持ち帰り、国内でお茶文化を普及させた人物として知られています。そのときに、茶筅も一緒に持って帰ってきたのではないかと考えられています。

室町時代の中期になると、わび茶の祖でもある村田珠光(むらたじゅこう)が、奈良県で親交のあった入道宗砌という人物に茶筅の制作を依頼しました。宗砌は村田のリクエストに応えてオリジナルの茶筅を作り、これが現在でも有名な伝統工芸品「高山茶筌」となったのです。
村田が生み出したわび茶は、村田の孫弟子の武野紹鴎(たけのじょうおう)、さらに武野の弟子の千利休(せんのりきゅう)へと受け継がれて発展していきました。わび茶、ひいては茶道の発展に伴い、表千家や裏千家など茶道の流派も増えていき、それぞれ使う茶筅のスタイルも少しずつ多様化していったようです。
現在では、国内の茶筅のほぼすべてが、前述の奈良県生駒市の高山町で作られている高山茶筌です。
百本立て(100本立て)だけではない?いろいろある茶筅の種類

今回ご紹介している百本立ての穂数は約100本ですが、茶筅には他にもさまざまな穂数があり、それぞれ特徴や使う抹茶の種類が異なります。穂数は、少なくて約60本から多くて約120本まで。少ないものは濃茶に、多いものは薄茶に向いています。
茶筅の穂数による違いと特徴を、簡単に解説します。
| 穂数 | 特徴 | おすすめの抹茶 | |
| 百二十本立て | 約120本 | ・きめ細かくクリーミーな泡を立てられる ・扱いが難しく、上級者向き | 薄茶 |
| 百本立て | 約100本 | ・きめ細かくクリーミーな泡を立てられる ・扱いが難しく、上級者向き | 薄茶 |
| 八十本立て | 約80本 | ・薄茶と濃茶どちらもOK ・比較的扱いが簡単で、初心者にもおすすめ | 薄茶 濃茶 |
| 数穂(かずほ) | 約70本 | ・薄茶と濃茶どちらもOK ・比較的扱いが簡単で、初心者にもおすすめ | 薄茶 濃茶 |
| 常穂(つねほ) | 約60本 | ・大きく練るのが得意なので濃茶向き | 濃茶 |

穂が多いものから順に、詳しく解説します。
百二十本立て
茶筅のなかでもっとも穂数が多いのが、百二十本立てです。その名のとおり穂数は約120本で、百本立てよりも多め。細く繊細な穂が密集しているので、きめ細かくふんわりとした抹茶を点てられ、薄茶に適しています。
しかし穂がとても細くて折れやすく、かつ持ち手が太いので、扱いの難度は高めです。
百本立て
穂数は約100本で、前述の百二十本立てよりはわずかに少なめです。百本立ても穂数が多いので、ふんわりクリーミーな薄茶を点てるのに向いています。百二十本立てと同じく上級者向きの茶筅です。
八十本立て
穂数は約80本です。いくつかある茶筅のなかでも特に扱いやすいといわれており、どの茶筅にするか迷ったらまずはこの八十本立てがおすすめ。八十本立てもなめらかな抹茶を点てやすく薄茶向きですが、濃茶にも使えます。穂先がそこまで細すぎないので、百二十本立てや百本立てに比べると扱いやすいでしょう。
数穂(かずほ)
数穂(かずほ)は、穂数が約70本の茶筅です。穂数が少ないため持ち手が細めで、持ちやすいです。また穂先が細すぎないので、濃茶を練るのにも使えます。もちろん薄茶もOKです。
常穂(つねほ)
常穂(つねほ)は、今回紹介したなかではもっとも穂数が少なく、約60本です。百二十本立ての半分しかありません。穂が太めで粘度があるものもしっかり混ぜられるので、濃茶に使います。
百本立て(100本立て)に関するQ&A

最後に、百本立てについてよくある質問と回答をご紹介します。
百本立て(100本立て)の穂数は、本当に100本あるの?
百本立ての穂数は、正確に100本きっかりではなく、およそ100本です。あくまで100本前後なので、98本のこともあれば102本のこともあります。
百本立てに限らず、他の茶筅も穂数には多少の誤差があります。茶筅は一本一本人の手で作られるので、どうしても穂数に差が出るためです。
百本立て(100本立て)は濃茶にも使える?
百本立ては薄茶には適していますが、濃茶にはおすすめできません。百本立ての細い穂は粘度がある濃茶には耐えきれないため、濃茶に使ってもうまく練ることができずに穂が折れてしまう可能性が高いです。百本立てはあくまでも薄茶のみに使いましょう。
茶道初心者だけど、百本立て(100本立て)を使ってもOK?
百本立ては茶筅のなかでも取り扱いが難しいため、茶道の初心者の方にはあまりおすすめできません。理由は、穂数が多いのでどうしても持ち手が太くなり、加えて穂が細く折れやすいので、お茶を点てる際の力加減が難しいからです。
初心者の方には百本立てよりも、穂数が少ない八十本立てや数穂が扱いやすくおすすめです。
百本立て(100本立て)を使う際の注意点は?
百本立てに限らず、新しい茶筅を使い始めるときは、まずは茶筅の穂先をお湯に浸けてやわらかくしてからお茶を点てましょう。こうすることで格段にお茶が点てやすくなります。
また、茶筅を使ったあとは水だけで洗います。茶筅は竹でできているので、食器用洗剤などを使うと傷んでしまいます。また、水洗いしたあとは濡れたまましまわずに、必ず十分に乾燥させてからしまいましょう。竹は濡れたまま置いておくと傷んだり歪んだりしやすいためです。
山年園で販売している百本立てについて
山年園でも百本立てを販売しています。丁寧に作られた約100本の穂で、やさしく抹茶を点てられます。巣鴨の山年園実店舗でも愛用している、高品質な一品です。
ご自宅用はもちろん、茶道をされている方へのプレゼントにも。
百本立て
| 商品名 | 茶筅 百本立 |
| 商品区分 | 茶道具 |
| 販売事業者名 | 有限会社山年園 〒170-0002 東京都豊島区巣鴨3-34-1 |
| 店長の一言 | 老舗のお茶屋が実店舗でも愛用している茶筅です。 ご自宅用、ギフト用、どちらにも最適です(^-^) |
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