寒い季節になるとつい食べたくなる焼き芋。ほっくりとした食感と優しい甘さは、ちょっと小腹がすいたときのおやつにぴったりです。
焼き芋のなかでも、特に濃厚な甘みで人気なのが「蜜焼き芋」です。名前からも甘いイメージがありますが、蜜焼き芋は普通の焼き芋と何が違うのでしょうか?今回は「蜜焼き芋」を解説します。
蜜焼き芋とは?
「蜜焼き芋」とは、一般的な焼き芋よりも糖度が高く、甘みの強い焼き芋です。
強い甘みの理由は、麦芽糖(ばくがとう)を多く含むから。麦芽糖とは二糖類(2つのブドウ糖で構成されたもの)で、別名マルトースともよばれます。砂糖と同じく甘味料として使われ、水飴の主成分でもあります。
この麦芽糖が蜜焼き芋になぜ多いかというと、さつまいもの中に含まれるデンプンが関係しています。生のさつまいもの中には麦芽糖は含まれず、一方でデンプンやβ-アミラーゼ(ベータアミラーゼ)という酵素が含まれています。デンプンやβ-アミラーゼに甘さはありません。
ところがさつまいもを加熱すると、このβ-アミラーゼが活性化し、デンプンを麦芽糖に変化させます。このため、加熱した焼き芋には生のさつまいもにはない甘みがあるのです。
蜜焼き芋は、一般的な焼き芋よりも麦芽糖の量が多いため、特に濃厚な甘みがあります。麦芽糖は蜜のようにとろっとした状態になるため、蜜焼き芋を持つとずっしりと重量感を感じるかもしれません。
蜜焼き芋の栄養成分
蜜焼き芋の原料であるさつまいもには、食物繊維やビタミンCなどが豊富に含まれています。他にもさまざまな栄養成分が含まれており、栄養価の高いおやつとしても重宝されます。
さつまいもに含まれる主な栄養成分をいくつか解説します。
※下記の栄養成分の含有量は、さつまいもの品種によって異なることがあります
食物繊維
さつまいもには、不溶性と水溶性、両方の食物繊維が豊富に含まれています。特に不溶性食物繊維のほうが多いです。
文字通り、不溶性食物繊維は水に溶けにくく、水溶性食物繊維は水に溶けやすい性質があり、それぞれ役割が異なります。食物繊維はただたくさん摂取すれば良いわけではなく、不溶性と水溶性の両方を摂ることが大切です。
ビタミンC
さつまいもにはビタミン類も多く含まれています。なかでもビタミンCの含有量が多く、さつまいも100gあたりに29mgほども含まれます。
ビタミンCは水溶性のビタミンで水に溶けやすいため、体内で余った分は尿として排出されます。そのため、毎日定期的に摂取することが大切です。
ミネラル類(カリウム・リン・カルシウムなど)
さつまいもにはさまざまなミネラル類も含まれていますが、突出して多いのがカリウムです。さつまいも100gあたりに480mgものカリウムが含まれています。他にもリン47mg、カルシウム36mg、マグネシウム24mgなどが含まれます。
ビタミンB1、B2
さつまいもに多く含まれるビタミンは、前述のとおりビタミンCですが、ビタミンB群も比較的多めに含まれています。さつまいも100gあたりにビタミンB1は0.11mg、ビタミンB2は0.04mgほど含まれます。
ビタミンB1もB2もエネルギー産生に関わる成分で、ビタミンB1が不足すると疲れやすくなることがあります。ビタミンB2は、不足すると口内炎や肌荒れなどにつながるといわれています。
蜜焼き芋に副作用はある?
前述のとおり、さつまいもは不溶性食物繊維がとても豊富です。不溶性食物繊維は消化されづらいため、一度に多量摂取すると消化器官に負担をかけることに。結果的に、お腹が張ったり、便秘になったりすることがあります。
また、蜜焼き芋は通常の焼き芋よりも糖質量が多いので、多く食べ過ぎると糖質やカロリーの過剰摂取にもなってしまいます。
加えて、さつまいもにはカリウムが多く含まれるため、腎臓が弱っている方は摂取しすぎないように注意してください。
蜜焼き芋におすすめのさつまいも(蜜芋)
焼き芋に使われるさつまいもにもいろいろな種類があります。なかでも蜜焼き芋に向いているのは、ねっとりとした食感で甘みが強いもの。このようなさつまいもは蜜芋とよばれます。
蜜焼き芋におすすめのさつまいも(蜜芋)の品種をいくつかご紹介します。蜜焼き芋を作る際はぜひ使ってみてください。
紅はるか(べにはるか)
紅はるかは、さつまいものなかでも特に糖度が高く甘みの強い品種です。その糖度は、加熱すると50度ほどにもなるといわれており、非常に濃厚な甘みを感じられます。
果肉もこっくりとしていてクリーミーです。強い甘さとねっとりした食感から、焼き芋はもちろん干し芋としても人気があります。
ちなみに紅はるかのなかには、大分県生まれの「甘太くん(かんたくん)」という品種もあり、こちらも蜜焼き芋にぴったりです。甘太くんは、大分県産の紅はるかを40日間以上貯蔵しておくことで作られます。貯蔵されている間に紅はるかの中で麦芽糖が増え、甘みが熟成されます。
安納芋(あんのういも)
安納芋も、ねっとりした食感と強い甘みを感じられる蜜芋です。見た目はコロンと丸っぽく可愛らしい形状をしています。
安納芋の産地は鹿児島県の種子島で、品種登録されてからしばらくは種子島でのみ作られていました。現在安納芋とよばれているのは「安納紅(あんのうべに)」と「安納こがね」という品種のさつまいもです。
シルクスイート
シルクスイートも蜜焼き芋に適した品種。「春こがね」と「紅まさり」という品種をかけ合わせてできました。その名のとおり、シルク(絹)のようななめらかでしっとりとした食感が人気です。さつまいもの繊維質が苦手な方にもおすすめです。
甘みも強く、上品でしつこくない味わいを楽しめます。
蜜焼き芋の作り方(オーブン・トースター)
蜜焼き芋は、ご自宅でオーブンやトースターを使って簡単に作ることができます。
蜜焼き芋を作る際の重要なポイントは、さつまいもを焼く温度です。前述のとおり、蜜焼き芋の甘さのポイントになる麦芽糖は、β-アミラーゼが活性化することで作られます。β-アミラーゼがもっとも活性化する温度は60~65度といわれています。75度を超えると活性化しなくなるので、焼き芋を高温で焼きすぎないように注意が必要です。
オーブンでの作り方
作り方は、まずさつまいもを皮付きのままよく水洗いして、オーブンシートを敷いた天板の上に置きます。180度ほどに温めておいたオーブンに入れ、30分間ほど焼きます。
30分間ほど焼いたら一度取り出し、さつまいもにフォークなどで穴を数ヵ所開けてから、今度は170度ほどに温めておいたオーブンで90分間ほどじっくり焼きます。あとは取り出して粗熱をとれば完成です。
トースターでの作り方
皮付きのまま水洗いしたさつまいもを、一個ずつアルミホイルで包みます。包むときに、少しだけ水をアルミホイルの中に入れましょう。
あとはトースターの網の上にアルミホイルを敷き、その上にアルミホイルで包んださつまいもを並べます。まず600Wで10分間ほど焼き、一度さつまいもを裏返してまた10分間ほど焼きます。
次に、さつまいもをほんの少し回転させたら900Wで15分間ほど、さらにまた少し回転させて15分間ほど焼きます。アルミホイルの上から箸などで突いてみて、やわらかくなっていたら完成です。トースターから取り出して、十分に粗熱をとってからお召し上がりください。
オーブンとトースター、どちらの場合も、さつまいもの種類や大きさで、焼く時間は適宜調整してください。さつまいもは、できれば小さめのサイズが焼きやすくおすすめです。またできた蜜焼き芋は、そのまま冷凍保存が可能です。
蜜焼き芋のアレンジレシピ
こっくりと甘い蜜焼き芋は、バニラアイスとの相性も抜群です。
お皿に適当な大きさにカットした蜜焼き芋を盛り、横にバニラアイスを添えるだけで完成。蜜焼き芋を潰すようにしながら、バニラアイスと混ぜてお召し上がりください。クルミなどナッツ類をトッピングしたり、キャラメルソースをかけたりするのもおすすめです。
山年園で販売している蜜焼き芋について
山年園で販売している「紅はるか 蜜焼き芋」は、鹿児島県産の紅はるかを使った美味しい蜜焼き芋です。紅はるかは非常に糖度が高く、一口食べるだけで口の中に強い甘みが広がります。しっとりとした食感もポイント。温めても冷やしても美味しくお召し上がりいただけます。
焼き芋 紅はるか
商品名 | 焼き芋 |
商品区分 | 食品 |
内容量 | 200g |
原材料名 | さつま芋(鹿児島県産) |
保存方法 | 直射日光を避け、常温で保存して下さい。 |
販売事業者名 | 有限会社山年園 〒170-0002 東京都豊島区巣鴨3-34-1 |
店長の一言 | 老舗のお茶屋さんがこだわりぬいた「蜜 焼き芋 紅はるか」を是非ご賞味ください(^-^)/ |


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