かんぴょうやいちご、ニラ、お米など、さまざまな美味しい農作物の宝庫である栃木県。あまり知られていませんが、栃木県では鹿沼茶(かぬまちゃ)や板荷茶(いたがちゃ)、黒羽茶(くろばねちゃ)、須賀川茶といったお茶も生産しています。
今回は、栃木県で作られる鹿沼茶(かぬまちゃ)について解説します。
鹿沼茶(かぬまちゃ)とは?
鹿沼茶とは、栃木県・鹿沼市を主な産地とするお茶のブランドです。読み方は「かぬまちゃ」。
鹿沼茶の一番茶「板荷茶(いたがちゃ)」について
鹿沼茶のなかでも、無農薬無化学肥料栽培で作られる一番茶(新茶)のことを「板荷茶(いたがちゃ)」とよびます。
鹿沼市の山間部である板荷地区を中心に作られます。
板荷茶は「とちぎの特別栽培農産物」や「かぬまブランド」にも指定されています。とちぎの特別栽培農産物については後述します。
板荷茶はあくまでも一番茶だけを使うため、一番茶を収穫したあとは二番茶を摘まずに葉を落とします。そのため、また次の年に栄養が詰まった一番茶が収穫できます。一番茶のみの収穫となるため、生産量が少なく、希少価値が高いです。
栃木県産のお茶は他にもある?
栃木県で作られるお茶は、本記事でご紹介する鹿沼茶や板荷茶の他に、「黒羽茶(くろばねちゃ)」もあります。
黒羽茶は、栃木県の大田原市(旧:黒羽町)須賀川地区で栽培されるお茶です。また、須賀川地区の地名をとって「須賀川茶(すかがわちゃ)」とよばれることも。
黒羽茶(須賀川茶)が作られる大田原市は、数ある茶産地のなかでも北限の産地の1つとして知られています。さらに須賀川地区は、栃木県内でもっとも古くからお茶の栽培をしている場所であり、その歴史は室町時代から続いているともいわれています。
黒羽茶の味の特徴は、コクがあるしっかりした味わいです。同じ茶葉で何煎入れても、濃厚な味が楽しめます。
鹿沼茶・板荷茶の特徴
鹿沼茶と板荷茶の特徴をいくつか紹介します。
まろやかで優しい甘み
鹿沼茶・板荷茶の味は、強い甘みがあり、まろやかで飲みやすいのが特徴です。
特に板荷茶は、さらに甘みが強いです。これは、一番茶に甘みや旨味成分であるテアニンがもっとも多く含まれているためです。
テアニンは、二番茶、三番茶となるにつれてだんだんカテキンに変化していき、甘みは弱まって苦みや渋みが強くなっていきます。
さわやかな香り
鹿沼茶のなかでも、板荷茶は一番茶(新茶)だけを使うので、新芽ならではの若々しくさわやかな香りを楽しめます。
環境に配慮されて作られている
鹿沼茶のなかでも板荷茶は、無農薬無化学肥料栽培で作られます。栽培方法が評価され、「とちぎの特別栽培農産物」の認証を受けています。
同認証制度は、栃木県内で生産される農産物のなかで、農薬と化学肥料の使用量を通常の半分以下に減らして作られたものだけが認証されます。
対象となる農産物は、お茶のほかに玄米・精米やそばなどの穀物や、きゅうり・なす・トマトなどの野菜、いちご・メロンなどの果物類など計32品目です。
ちなみに同制度は2022年(令和4年)3月いっぱいで廃止されていますが、板荷茶の環境への安全性や配慮の高さが認められたことは確かです。
参照:栃木県/とちぎの特別栽培農産物(リンク・ティ)(令和4(2022)年3月31日廃止)
鹿沼茶・板荷茶の味や香りについて
鹿沼茶と板荷茶を飲んだ方の味や香りの感想を、Xからいくつか抜粋してご紹介します。
Hijiriさま、こんばんは
お疲れさまでした。
鹿沼茶🍵ありがとうございます。
美味しかったです💐— 鳴神響一 (@jnovel_org) June 23, 2024
お昼に立寄ったまちの駅新鹿沼宿にあるキッチン七さんで、板荷茶ミルクジェラートをいただきました。板荷茶は黒川取水放流工の近くが産地です。希少な板荷茶の風味豊かな渋みとミルクの甘さがマッチしたなめらかなジェラート。少し暑かった今日は一層美味しく感じました!#南摩ダム#かぬまブランド pic.twitter.com/Epi9fbAl2s
— 思川開発建設所(水資源機構(みずしげんきこう)) (@jwa_omoigawa) October 15, 2021
板荷茶うまうま🍵
— なしか@ (@nashikapj) May 18, 2024
板荷茶新茶の水出し
うまい旨味がうまい
色濃いけど苦くないんだよね〜 pic.twitter.com/AL6NX2WM6Y— 🍑Lilly🍑 (@ma_03Lilly) July 23, 2021
栃木・板荷茶 製造は福田さん。
摘採は可搬。この地域は年に一度(もちろん新茶)の収穫で、在来のやぶきた・・・と、もう一種類感じられるような花香は萎凋の具合から・・・?写真よりももう少々山吹色に近い水色で爽やかながらも渋味があり、とても美味しいお茶でした。 pic.twitter.com/zfjS3r3LLq— さしま茶の石山製茶|namiki🫖 (@Ishiyamacha) January 7, 2018
頂き物の池田正純さん 板荷茶。わずかな酸い印象、煎った豆のような香ばしさ、爽やかな青みのある香りが感じられます。香り同様の印象のある円やかな味わいで、ほのかな甘味、わずかな酸味、苦味があり、余韻に爽やかな青みが残って感じられました。#茶好連 pic.twitter.com/zW4sIc4kQ7
— シャルル (@rsfsr030) July 18, 2022
特に、板荷茶は清涼感のあるすっきりした香りを感じる方が多いようです。一番茶ならではのさわやかな香りがありながら、しっかりした旨味や強すぎない渋みを感じる方もいて、奥深い味わいを楽しめそうですね。
鹿沼茶・板荷茶の美味しい入れ方
鹿沼茶や板荷茶の入れ方は、味の好みで調整しましょう。
さわやかな香りや、キリッとした味わいがお好みなら、80度ほどのお湯を注ぎ、短時間浸出させます。
一方で、甘くまろやかな味わいがお好きなら、70度ほどのぬるめのお湯を注ぎ、数分間じっくりと浸出させます。どちらの場合も、茶葉は1人あたり3~5gほどが目安ですが、お好みで茶葉の量も調整してください。
ちなみに鹿沼茶や板荷茶は甘みが強いので、水出しでアイスティーにするのもおすすめ。
水出しでは、ポットに茶葉入りのティーバッグと水を投入し、冷蔵庫で数時間から、一晩ほどおいておくだけでOKです。
ホットとアイス、お好みの飲み方で、ぜひ鹿沼茶・板荷茶の甘みを楽しんでください。
まとめ
鹿沼茶も板荷茶も、栃木県が生んだ美味しいお茶です。寒い茶産地ならではの凝縮された茶葉の甘みや、一番茶のフレッシュな香りを、ぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか。
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